嶽本野ばら「カフェー小品集」に出てくる純喫茶は今もやってる?【閉店?移転?】

或るデザイナーは喜びの数だけブティックは存在するといいました。それならばカフェーは、きっと悲しみの数だけ存在するのでしょう。否、正確にいうならば、悲しみの数だけもう二度と入ることのないカフェーが生まれるのです。
「カフェー小品集」より引用
嶽本野ばら著「カフェー小品集」は実在する喫茶店を舞台に書かれた短編小説集。
本書には、実際にお店を切り盛りする店主の証言なども含まれており、本作に登場する純喫茶がとても身近に感じられます。
発売されてから20年近く経つ本で、作者は2度も大麻所持で逮捕歴もあるちょっとアレな人ですが、今なぜこの本を取り上げて記事を書こうと思ったかというと、
近年コロナの影響もあり、昔ながらの喫茶店や飲食店が姿を消しつつある現状に、とても淋しさを感じているからです。
いつまでもあると思うな、親とカフェー
と言ったところでしょうか。
発音は「カフェ」じゃなくて、「カフェー」なんですよね。なぜかはわかりません。
きっと、新世紀エヴァンゲリオンでミサトさんが「エヴァー」と呼ぶのと同じ理由だと思います(笑)
あのエヴァーですら完結を迎えてしまっている令和のこの時代ですが、今こそ古き良きを感じてノスタルジーに身を寄せるのも素敵だと思いませんか?
個人的に「カフェー小品集」に登場する現存するカフェーに、今後訪れる時のためのメモを残しておきたいという想いと、実際に訪れたカフェーが存在していた、ということを少しでも自分の記憶の中に留めておきたくて、記事を書くことにしました。
- 名曲喫茶みゅーず(閉店)
- フランソア喫茶室
- 喫茶 若王子(閉店)
- クンパルシータ(閉店)
- 宵待草(閉店)
- 名曲喫茶 ミニヨン
- 糸切りだんご喫茶室ミカワ(閉店)
- 名曲喫茶クラシック(閉店)
- ミルクホール
- ヴィオロン
- 新宿 スカラ座(移転)
- 純喫茶 光
残念ながら、既に閉店になっているお店がほとんどです・・・
しかし、そんな過去の栄光となってしまったカフェーにも想いを馳せてみたい!と思い、当時の様子などもわかる範囲で情報を集めてみました。

すみません、
私は妄想が趣味なんです(笑)
レトロな喫茶店が好きな方、お気に入りのカフェーを探したい方、自分の居場所が見つからないとお感じの方の何かのきっかけになれば幸いです。
店舗情報は2022.9月時点の情報です。
営業時間・定休日等が記載と異なる場合がございます。ご来店時は、事前に店舗へのご確認をお願いします
\ 嶽本野ばらの代表作♡ /


京都市中京区|名曲喫茶みゅーず(閉店)
赤い切妻屋根、ステンドグラスの飾り窓、青い鱗屋根の庇、煉瓦でデコラティブに装飾された壁。京都は四条、高瀬川の傍に佇むこの名曲喫茶を初めて訪れたのは何時のことだったでしょう。
琥珀の中のバッハ みゅーず より
カフェー小品集で一番最初の物語の舞台となった「名曲喫茶ミューズは」2006年に閉店しました。
春には高瀬川沿いの満開の桜並木を眺めることのできる、京都でも有数のロケーションを誇るカフェでした。
店内はレトロな雰囲気でBGMはクラシック。お客さんがお店に聴きたい曲をリクエストしたり、ということもできたそう。
作中では筆者が当時のオーナーにインタビューしており「フェイクにはフェイクがお似合いなのです」という一説も登場するので、他の厳格な雰囲気の名曲喫茶とは異なり、ミューズは若者が気軽に入ることが出来たお店だったようですね。
ちなみに、カフェー小品集の表紙の音符の鉄格子付きの窓ガラスも「みゅーず」のものです。



かわいい…♡
忘れ得ぬ物が美しいのではない。忘れ去られたものだけが美しい。
琥珀の中のバッハ みゅーず より
忘れるどころか、想いを寄せるだけで出会う前に閉店してしまうってのも寂しいものです。あの時、行っておけばよかったと、後悔の念に駆られます。
「みゅーず」でレコードから流れるバッハを聴きながら、私もアールグレイのミルクティーを飲みたかったな…
京都市下京区|フランソア喫茶室


フランソア喫茶室は現在も営業中。京都の四条河原町からアクセスもよく観光にもオススメです。
「制服というものは しかし、大事ですね、お店にとって。お客様より派手になってはいけないし、地味過ぎてもいけない」
品性のある制服と品性のある歯車 フランソアより
「カフェーの場合、お客様の質はウエイトレスの質で決まるのではないかと思います。ウエイトレスの質がいいと、品性を保ったお客様をキープできますの」
品性のある制服と品性のある歯車 フランソアより
という言葉に示される通り「フランソア喫茶室」の制服は実にシックで可愛らしい!!
この制服が見たくて行ったといっても過言ではないですが、店内も18世紀フランス王朝のような佇まいでなにからなにまでウットリする空間でした♡
フランソア喫茶室
住所:京都市下京区西木屋町通四条下ル船頭町184 MAP
アクセス:京阪祇園四条駅より徒歩5分、阪急京都河原町駅より木屋町南出入口徒歩1分
TEL: 075-351-4042
営業時間:10:00〜22:00
京都市左京区|喫茶 若王子(閉店)
君と訪れたい場所があったのです。哲学の道を若王子神社の方からまっすぐ歩けばすぐ左手にある不思議なカフェー、その名を若王子。
眠りの国、青い屋根の人の家 若王子より
「喫茶若王子」もすでに閉店済みのカフェー。観光地としても有名な哲学の道の周辺にありました。
栗塚 旭氏という役者が経営していたということで有名。喫茶店の廃業後も数多くのブログが「喫茶若王子」の様子を紹介されています。
比較的に更新が最近のブログによると、現在は恐らく人も住んでいない廃墟になっているのではないかとのこと…(真相は不明ですが…)
人の往来が盛んな観光地で現在もひっそりと建物だけが佇んでいる…というのも、またなんだかグッときますね。
>>こちらのブログに閉店後の様子の写真などがまとめられています。
あ〜叶うならば、私も恋人と哲学の道を一緒に歩いて、歩き疲れたら若王子で休憩するというデートがしたかったな…(妄想)
ついでに、先日京都に訪れた際に”若王子編”に出てくるスポットをまわってきたので、そちらの写真等を載せておきます。
冨美家|四条の錦市場




少し甘めのダシが魅力の冨美家の鍋焼きうどん。訪れたのは、夏の終わりのとても暑い日だったけれど、私もどうしてもこれが食べたかった…!
本書では、主人公の恋人が涙を溢しながら食べていましたが、私は汗を溢しながら食べていました(笑)
出てきた瞬間、鍋がグッツグツに煮えたぎっており、あまりの暑さにひとり笑ってしまいましたが、おもちが入ってて出汁が効いたおうどんは最高に美味しかったです!
哲学の道|銀閣寺付近




京都の観光名所としても有名な哲学の道。本作では恋人とこの道を歩いていて「あの家に住みたいね」などと未来を語り合っていた道ですね。
一人で散歩するにしても物思いにふけりながら歩くには最高の散歩道だと思います。




哲学の道の途中にあった「Pomme」という林檎のカフェでテイクアウトして歩きながらアップルティーを飲みました。
自然な甘さで美味しかった。店内も素敵だったので、次はイートインで林檎のケーキと一緒にいただきたいです♡
春ともなれば沿道をアーチ状に飾る桜が一斉に花開きます。その出来過ぎた光景は抒情の致死量を超え、人をたやすく廃人にします。
眠りの国、青い屋根の人の家 若王子 より
……ってそれ、どんだけ美しいんでしょうか?!
めちゃくちゃ気になりますよね…桜もいいけど、紅葉も綺麗でしょうね…冬の冷たい空気を感じながら歩くのも素敵でしょうね…



哲学の道周辺に引っ越したい…
熊野若王子神社




銀閣寺から若王子橋へのコースを端まで歩くと、熊野若王子神社に辿り着きます。
このすぐ近くに「喫茶 若王子」があったそうですが本当に残念…。でも、若王子神社も緑が溢れて雰囲気もすごく良かったので訪れてよかったです。
京都市中京区|クンパルシータ(閉店)
かつて僕はこのお店には絶望も希望もないといいました。只、諦念のみがあると。
諦念とタンゴの調べ クンパルシータ より
クンパルシータも閉店済み…食べログのサイトが今も残っていたので、それだけ多くの方に長く愛され続けた喫茶店なのだと思います。
クンパルシータは、当時でも珍しく”タンゴ喫茶”と呼ばれ、愛されていました。
店内にはメランコリックなタンゴの音楽が鳴り響き、一瞬で外界の喧騒は消し飛ぶような素敵な空間だったそう。店名は、タンゴの名曲、ラ・クンパルシータからきているんだとか。
内装もタンゴのイメージに合わせて、照明は薄暗めの暖色、バロック調で深紅を基調としたビロード地の椅子が並べられていたようです。
腰の曲がったご高齢のマダムが一人で営業されており、本作には、コーヒー1杯が出てくるまでに30〜40分は待たされるとあります。
実際に行ったことのある方の感想を見ても「とても時間をかけながら珈琲を淹れて下さり、実際にサーブされるまで1時間位かかったりもする」とあったので、本当に待たされる喫茶店だったようです(笑)
でも、待っている間も美しい空間とタンゴが堪能できるのだから、それは素晴らしい時間が過ごせるんじゃないかと思いました…
行ったこともない、今は無きカフェーに諦念を感じ淋しさと向き合いながら、私も「ラ・クンパルシータ」を聴いて過ごしたいと思います。
東京三鷹市|宵待草(閉店)
大切なのは、この場所にいれば、ふと空を見上げては夕月をみて訳もなく涙さしぐむ乙女になっても、誰にも誰にも嗤われることがないということなのです。
訳もなく涙さしぐむ者たちの居場所 宵待草”より
「カフェギャラリー宵待草」は2007年に閉店しました。その後、2019年の10月の1ヶ月だけの期間限定で再オープン。
その時のTwitterの投稿なども多く残っており、本当に多くの人々、多くの乙女達の心の拠り所のような居場所だったことが想像できます。
店内には、中原淳一や吉屋信子などの少女趣味の世界観が好きな方なら、過剰に反応せざる負えないような可愛らしく、そして少し毒のある絵画や古い人形・ビスクドール等が並べられていたそう。



私も行ってみたかったな…
本書にも登場するオーナーの吉田キミコさんは現在も人形作家・画家として活躍されています。
キミコさんの作品などは、吉田キミコ公式HPからご覧いただけるので、気になった方はぜひみて覗いてみて下さいね。
東京都杉並区|名曲喫茶 ミニヨン


執筆中・・・
名曲喫茶ミニヨン
住所:東京都杉並区荻窪4-31-3 マルイチビル2F MAP
アクセス:荻窪駅より徒歩3分
TEL: 03-3398-1758
営業時間:12:00~19:00(2022.9時点:営業時間短縮中)
定休日:水曜日
公式サイト:http://cafe-mignon.sakura.ne.jp/
東京都三鷹市|糸切りだんご喫茶室ミカワ(閉店)
執筆中・・・ネットでもあまり情報が出てきませんが Googleだと(閉業)と出てきます…店舗の電話も繋がらないので恐らく閉店済みと思われます。
※きょう子ちゃんの一言とは・・・あくまで一言であって、必ずしもこういう見方、考え方をして欲しいという押し付けではないことを御了解下さい
2011.2.22
糸切りだんご喫茶室ミカワ
住所:東京都三鷹市井の頭4-9-22 MAP
アクセス:井の頭公園駅より徒歩5分
TEL:0422-47-2672
公式サイト:http://www7.plala.or.jp/katariba/
東京都中野区|名曲喫茶クラシック(閉店)
執筆中・・・
名曲喫茶クラシック、2005年1月に閉店
神奈川県鎌倉市|ミルクホール
執筆中・・・
ミルクホール
住所:神奈川県鎌倉市小町2-3-8 MAP
アクセス:JR横須賀線・江ノ島電鉄鎌倉駅より徒歩3分
TEL: 0467-22-1179
営業時間:平日 11:00-20:30 (L.O.20:00)、土日祝 11:00-21:30 (L.O.21:00)
定休日:不定休
公式サイト:https://www.milkhall.co.jp/
東京都杉並区|ヴィオロン
執筆中・・・
ヴィオロン
住所:東京都杉並区阿佐谷北2-9-5 MAP
アクセス:JR中央線 阿佐ケ谷駅 徒歩5分
TEL: 03-3336-6414
営業時間:12:00~17:00(レコードタイム)、19:00~22:00(ライブタイム、時間前後あり)
定休日:火曜日
公式サイト:http://meikyoku-kissa-violon.com/
長野県軽井沢|新宿 スカラ座(移転)
新宿スカラ座は、かつて東京都新宿区に所在した名曲喫茶です。
初代の歌舞伎町の店舗が閉店し、同じ新宿の小田急エースに移転。その後に現在の店舗である長野県の軽井沢へ移転し「新宿スカラ座 軽井沢店」として営業しています。(2022.9月時点)
執筆中・・・
新宿スカラ座 軽井沢店
住所:長野県北佐久郡軽井沢町中軽井沢6-14 MAP
アクセス:中軽井沢駅より徒歩3分
TEL: 03-3398-1758
営業時間:11:00~17:00
定休日:不定休
公式サイト:http://cafe-mignon.sakura.ne.jp/
北海道小樽市|純喫茶 光
執筆中・・・
純喫茶 光
住所:北海道小樽市稲穂2-11-8 MAP
アクセス:JR小樽駅より徒歩約3分
TEL: 0134-22-0933
営業時間:10:00~18:00
定休日:不定休
あとがき


もう、そこに存在しない居場所ばかりに想いを寄せることは馬鹿げたことでしょうか。「空想ばかりしてないで、いい加減、現実に目を向けなさい」などと、よく視えもしない実態のないものにまで叱られてしまう気がしています。。
でも、私はこの場所が存在していたことを、この場所に確かに自分が存在していたことを、自分の記憶の中に留めておきたかった。私はとても忘れっぽいのです。だから、こうして誰に差し出すわけでもないラブレターを書いているんだと思います。
そして、ずうずうしいながらもこの想いを共有できる人を、少しでも増やせたら、と思っているんです。そうすれば、例えこの記事で紹介したお店がなくなってしまったとしても、淋しさを共有できるから。
最後に、少なからずあなたの中にこのブログが存在していることが嬉しく思います。最後まで読んでくださり本当にありがとう。心から感謝しています。
2022年9月某日 はむお



大丈夫…(あたま)?



あ、うん…///
そんなわけで、これからも沸き立つ脳みそを揺らしながら、行きたいと思った場所には書を捨ててお出かけして、会いたいと思った人には走って駆け寄るぐらいの気概を示したいと思います。
いつまでもあると思うな、待ち人とカフェー
- 名曲喫茶みゅーず(閉店)
- フランソア喫茶室
- 喫茶 若王子(閉店)
- クンパルシータ(閉店)
- 宵待草(閉店)
- 名曲喫茶 ミニヨン
- 糸切りだんご喫茶室ミカワ(閉店)
- 名曲喫茶クラシック(閉店)
- ミルクホール
- ヴィオロン
- 新宿 スカラ座(移転)
- 純喫茶 光
体がわりかし元気なうちに、色んなところに行きたい所存ではありますが、例の感染症の関係もあってなかなか自由がきかない日々が続きますね。
どうぞお身体に気をつけてお大事にお過ごし下さい。この記事もゆっくりにはなりますが、忘れず更新していく予定なので、今後ともどうぞご贔屓に。



最後まで読んで下さりありがとうござました!
「悲しみの数だけカフェーは存在する」という一説から始まる、乙女のカリスマこと嶽本野ばら作の短編集「カフェー小品集」
本書では”普通に生きられない人々の不遇な恋愛模様”とともに、実在する複数の喫茶店が登場します。
純文学的な美しさと、自己愛・自己陶酔コッテリ系のこじらせ恋愛小説が読みたい方にオススメの一冊です!
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フランソア喫茶室の思ひ出
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